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活動内容:生物資源 キリングループ環境報告書2017 | 資料 | 社会との共有価値(CSV) | キリンホールディングス

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(1)

生物多様性への関心は低いが、持続可能な 農園認証制度の重要性は高まっている

2010年に開催されたCOP10(生物多様性条約 第10回締約国会議)において「生物多様性条約戦 略計画2011-2020(愛知目標)」が採択され、日 本でも東京オリンピックの調達ガイドラインなど で生物多様性への配慮が盛り込まれつつあります が、社会的な関心はまだ高いとはいえない状況で す。一方で、持続可能な農園認証制度の各種対策 が、生物多様性と農園の気候変動への適応力向上 に寄与していることが明確となってきています。

農産物を中心とした生物資源は、キリングループ の綜合飲料事業にとっては最も重要で基本的な原 料であり、これなしには事業を継続することは不 可能です。しかし、農産物の生産地は、気候変動に よる大雨や干ばつなどの影響を受けたり、生産の 担い手の高齢化などの問題を抱えているなど、高 い品質の農産物を継続的・安定的に適正な価格で 調達するためには、これらの課題を解決していく 必要があります。

キリングループは、2010年に「生物多様性保全宣 言」を発表し、その後、キリングループにとっての リスク把握を行った上で、「紅茶葉」「紙・印刷物」 「パーム油」を重点品目として設定し、さらに「持 続可能な生物資源調達ガイドライン」および「持続 可能な生物資源利用行動計画」を定めて、それぞ れの品目について取り組みを進めてきました。さ らに、日本では、サプライチェーンの持続性を再評 価した上で、日本産のホップとブドウを重要品目と して設定しています。

遠野市ホップ畑、上田市椀子(マリコ)ヴィンヤー ドで、2014年から生物多様性評価を実施し、それ ぞれの畑が生物の多様性に寄与していることが判 明しています。今後は、より自然を豊かにする取り 組みも行っていきます。

2013年から紅茶農園がレインフォレスト・アライア ンス認証を取得するトレーニング費用の支援を開 始し、2016年末で累計約90農園がトレーニング を開始し、累計約40農園が認証を取得しました。 農産物を継続的に調達できなくなるリスク 2050年までに、生物資源を持続可能な形で

使用している スリランカの農園の持続性向上

日本の農地における生物多様性の確保

生物資源

長期環境ビジョン

生産地に寄り添い、持続可能な生物資源を利用します

社会的な課題

キリンにとってのリスクと機会

長期環境ビジョン

CSVコミットメント

 

(2)

達成状況(2017年3月末) FSC認証紙利用状況 遠野ホップ農家数

遠野ホップ畑生きもの調査結果 認証取得支援状況(2016年末)

紙・印刷物

パーム油

紅茶葉

ホップ

ブドウ

●FSC®認証紙使用紙容器

 (1次/2次容器)の  使用維持・拡大

●名刺、統合報告書、  環境報告書、商品カタログ等 ●応募ハガキの一部

 (紙容器については    )

6人の新規生産者移住 (減少に歯止め)

椀子(マリコ)ヴィンヤード 生態系調査結果

●植 生: ●昆虫類:

258種(希少種含む) 64科168種 山梨県甲州市の新規ブドウ畑で 生態系共同研究開始

●昆虫類:47科104種 ●鳥 類:13科19種

遠野市のホップ畑が里地里山へ寄与してい ることを明らかにすることで、国産ホップの 価値化、生産の維持、および遠野の活性化 に寄与していきます。

日本ワインのためのブドウ畑が拡大する中 で、ブドウ畑が希少種を守るための草原の機 能を果たしていることを、生態系の専門家と の共同研究で明らかにしつつあります。

●累計トレーニング農園数  90農園以上

●累計認証農園数  40農園以上

全量をRSPOで対応する (一次原料、二次原料とも)

●Book & Claim方式で  全量対応を継続

●レインフォレスト・アライアンス  認証の取得支援農園数の拡大 ●レインフォレスト・アライアンス  認証茶葉の使用を拡大 ●スリランカの農園の持続性向上

●日本産ホップの  収穫数量減少の歯止め ●日本の農地における  生物多様性の確保

●日本ワイン用ブドウ畑の  耕作面積の拡大 ●日本の農地における  生物多様性の確保

▶P.35

日本がスリランカから輸入している約4割の紅茶葉を「午 後の紅茶」が使用しています。キリンの支援で、すでに40 を超える農園が持続可能な農園認証を取得し、より自然 と農園の人々にやさしい茶葉栽培につながっています。

2050年までに、生物資源を持続可能な形で 使用している。

日本産ホップの70%をキリンが使用 ブドウ畑の草原としての価値 持続可能な農園認証制度

 

(3)

●基本的な考え方 ●現状

 

約1/3が キリンの支援で

取得 午後の紅茶が

を使用 約

4

割 スリランカ産

5

割 日本が輸入する 紅茶葉の産地の割合

1986年 20万箱  2016年 5000万箱以上

「午後の紅茶」販売箱数推移(万箱)

6000 5000 4000 3000 2000 1000 0

250

輸入スリランカ産

紅茶葉の使用先 スリランカ全体での認証農園数

キリン

紅茶農園

持続可能な農園 トレーニング 良質な

原料

トレーニング

費用 レインフォレスト・

アライアンス

自然環境を“まもる” ために、森林・土壌・水 源の維持、生態系・野 生生物の保護を行

います。

“はたらく”人々のた めに、安定した収入の 確保や子どもの教育、

衛生面の向上を行 います。

自立した農園経営を “つづける”ために、生 産物の収穫量や品質の 向上など農業レベル

まもる

はたらく

つづける

財務省の2016年貿易統計からキリン調べの数字です。

※キリン調べ

小学校への図書寄贈を拡大

「キリン・スリランカ・フレンドシッププロジェク ト」では、2007年から「キリンライブラリー」と いうプロジェクトを開始。茶園で働く人々の子ど もたちが通う小学校へ、各校それぞれ本棚、図書 100冊程度を継続的に寄贈しています。2007年 からの10年間で約120校へ寄贈し、さらに2022 年までに寄贈先小学校を新たに100校増やす予 定にしています。

1986年に、グラスに注ぐだけで本格的な紅茶が味わえる日本初のペットボトル入り紅茶飲料とし て誕生した「キリン 午後の紅茶」は、発売以来30年間以上、日本の紅茶飲料市場を牽引してきた トップブランドです。主要な原料茶葉の生産地はスリランカであり、日本がスリランカから輸入して いる茶葉の約4割が「キリン 午後の紅茶」の原料として使われています。

「キリン 午後の紅茶」をずっとお届けするためには、そのおいしさを支える個性豊かで代替がきか ないスリランカの良質な茶葉を安定的に調達することが必要です。そこで私たちは、スリランカの 紅茶農園が、そこで働く人々の労働環境や生活環境に配慮し、環境を保全して茶葉を生産してもら うために、持続可能な農園認証であるレインフォレスト・アライアンス認証を紅茶農園が取得する ためのトレーニング費用を支援する活動を開始しました。

スリランカの紅茶農園では、今までも自然や農園労働者に配慮して生産を行ってきましたが、レイ ンフォレスト・アライアンス認証を取得するためのトレーニングを受けることで、より効率的かつ効 果的に課題に取り組む方法を学ぶことができるのです。2013年から活動を開始し、2016年末まで の4年間で、既に累計で90を超える紅茶農園がトレーニングを開始し、40農園以上が認証を取得 しています。キリンが支援して認証を取得した農園数は、スリランカ全体の認証農園数の約1/3 に相当します。トレーニングを受けた農園は、例えば大雨の際に豊かな土壌が流れ出してしまうこ とを安価かつ効果的に防ぐ方法を学んだり、農園内に住む人々が生活排水で川を汚さないようにす るための教育なども受けています。今後は、大農園だけではなく、その周辺の小農家の認証取得も 支援していく予定にしています。

紅茶葉

「キリン 午後の紅茶」は30年以上お客様に愛され続けている紅茶飲料のトップブランドであり、日本がスリランカから輸入する紅茶葉の約4割を使用しています。スリ ランカの紅茶農園への依存度が高い中、近年スリランカは気候変動の影響で大雨と 干ばつに見舞われています。スリランカの紅茶農園の持続可能性を高める取り組み が必要です。

調達先を中心にスリランカの紅茶農園が持続可能な農園認証制度レインフォレス ト・アライアンス認証を取得する支援を実施しています。2016年末で、累計で約90 農園がトレーニングを開始し、約40農園が認証を取得しており、その結果として農 園に働く人々の生活向上に加えて、気候変動への適応力が高まってきています。

レインフォレスト・アライアンス認証取得支援の仕組み

重点1

約1/3が キリンの支援で

取得 午後の紅茶が

を使用 約

4

割 スリランカ産

5

割 日本が輸入する 紅茶葉の産地の割合

1986年 20万箱  2016年 5000万箱以上

「午後の紅茶」販売箱数推移(万箱)

6000 5000 4000 3000 2000 1000 0

86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16

250

輸入スリランカ産

紅茶葉の使用先 スリランカ全体での認証農園数

キリン

紅茶農園

持続可能な農園 トレーニング 良質な

原料

トレーニング

費用 レインフォレスト・

アライアンス

自然環境を“まもる” ために、森林・土壌・水 源の維持、生態系・野 生生物の保護を行

います。

“はたらく”人々のた めに、安定した収入の 確保や子どもの教育、

衛生面の向上を行 います。

自立した農園経営を “つづける”ために、生 産物の収穫量や品質の 向上など農業レベル

を上げます。

まもる

はたらく

つづける

財務省の2016年貿易統計からキリン調べの数字です。

※キリン調べ キリンの支援で認証を

取得した農園累計数 キリンの支援で認証を取得予定の小農園数

40

(4)

 

国産ホップ

2016年には、岩手県内外から6人の新規生産 者の移住があり、ホップ畑の減少に歯止めが 掛りました。移住の決め手は、地域が一体と なった受け入れ態勢の整備とのことで、遠野 市とキリンが地道に続けてきた活動が、着実 に成果に結びついたといえそうです。

岩手県「ホップに関する資料」(2013)より

夏には、地域の子どもたちや家族に向けて ホップ畑とその周辺で生きもの観察会を実施 し、遠野の方々にもホップ畑の里地里山とし ての価値を実感いただいています。

キリンは、日本産ホップの約70%を使用してい る企業として「JAPAN HOP PROJECT」を開 始します。日本産ホップの品質向上と収穫量減 の歯止めのための取り組みを行うとともに、“造 り手(ホップ生産者と醸造者)の顔と想いが見 える”という文脈で“日本産ホップ”を価値化 し、ホップを通じた地域活性化を推進します。

ホップ農家の高齢化などもあり、日本のホップ生産量はピーク時の1/3程度となっ ており、10年以内に消滅する可能性もある状況です。ビール事業全体に占める使用 量は限定的ですが、クラフトビールなどに使う個性的な国産ホップへの期待も高まっ ており、日本産ホップの70%を使用している企業として、継続した安定的な調達に責 任を持ちたいと思っています。

キリンは10年以上前から、遠野市と協働で遠野のホップの認知度を向上させる取り 組みを行ってきましたが、それに加えて遠野市ホップ畑の生物多様性調査でホップ畑 が里地里山へ寄与していることを明らかにすることで、国産ホップの価値化、生産の 維持、および遠野の活性化に寄与していきます。

岩手県遠野市は、国産ホップの有力な産地です。その年に収穫したホップが「一番搾り とれたてホッ プ生ビール」にふんだんに使用され、クラフトビールの原料としても重要性が増してきています。 キリンは遠野市とホップ契約栽培で50年を超える歴史を積み重ねてきましたが、生産者の高齢化や 後継者不足などによる生産量の減少で、遠野市のホップは栽培継続の危機にあります。何も手を打た なければ、近い将来国産ホップを使用したビールが飲めなくなるかもしれません。

そこで、キリンは遠野市や生産者と共同で、「ホップの里」から「ビールの里」へを合言葉に、TONO BEER EXPERIENCEと呼ぶ市民参加型の地域活性化を目指した取り組みを開始しています。 2014年からは、遠野のホップ畑とその周辺で生きもの調査を開始しました。山裾のホップ畑では、 成長すると5mの高さにまで伸びるつる草であるホップを守るために防風林が整備されています。ま た、地面の乾燥を防ぐために適度に下草が残されています。実はこの防風林と下草の組み合わせが、 多様な生きものを育んでいたのです。

遠野のある北上高地は日本でも最も古い時代に隆起してできた土地といわれ、決して肥沃な土地で はありませんでした。日本の原風景である遠野の里地里山の景色は元からあったものではなく、その 地に長く暮らしてきた人々が延々と守り育ててきたものだったのです。遠野のホップ畑はビールの原 料として人にめぐみと潤いを与えるだけではなく、ホップを育てるために行っている農作業の様々な 工夫が生きものの多様性を生み、遠野の里地里山としての保全にもつながっているといえそうです。 今後も調査を継続するとともに、多様な生きものが育むことのできる畑をめざして、生産者の皆さま とともに取り組んでいく予定です。また、地元の子どもたちを対象としたホップ畑周辺での生きもの 観察会の実施など、ホップ畑が果たす里地里山の役割を伝える取り組みも行っていきます。

ホップ作付面積・生産量

ホップ畑減少に歯止め

ホップ畑生きもの観察会

JAPAN HOP PROJECT

700 600 500 400 300 200 100 0

1989 647

538

369 354 268

225 202

133 127 99

1993 1998 2003 2013

生産量(t)  栽培戸数(戸)

ホップ畑で見つかった 昆虫

104

種類

ホップを守るために整備した防風林、地面の乾燥を防ぐための下草に多様な 生きものが生息しています。

ホップを風から守る防風林

(5)

●基本的な考え方 ●現状

 

国産ブドウ

日本初の民間ワイン会社「大日本山梨葡萄酒会社」をルーツに持つメルシャンは、140年にわたり日本ワイン市場の拡大をけん引してきました。ワインは“はじめにブ ドウありき”。今後も、日本で新しいブドウ畑を開いていく必要がありますが、遊休 地・耕作放棄地からブドウ畑に転換していくことの自然への影響は不明点が多く、自 然に優しいブドウ栽培のためには科学的な調査が必要です。

上田市の自社管理畑椀子(マリコ)ヴィンヤードで農研機構・農業環境変動研究セン ターに調査を依頼し、垣根栽培のブドウ畑が日本では貴重な種の生活空間である草 原の保全に寄与していることが明らかになってきています。2016年からは、新たに 山梨県甲州市の遊休地・耕作放棄地がブドウ畑へ移り変わることがどのように生物 多様性に寄与するかについての共同研究も開始しました。

60

50

40

30

20

10

0

1.2

0.6

0.0 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35

10年間で1.8倍

年(平成) 森林 農地 湿地 草原 海浜

千kL

絶滅危惧植物の単位 面 積 当 たりの 数 は、 草原が森林より遥か に大きいといえます が、草原面積は激減 しています。

長野県上田市丸子地区陣場台地にあるメルシャンの椀子(マリコ)ヴィンヤードは、かつて大半が 遊休農地であったところを、土地所有者や地域の皆さん、行政の方々の協力を得て、その土地本来 の地形や景観に配慮しながらブドウ畑として造成した約20haに及ぶ広大な自社管理畑です。 2014年から農研機構・農業環境変動研究センターの研究員の方々を招聘して行っている生態系調 査では、希少な植生がブドウ畑の中で見つかっています。

椀子(マリコ)ヴィンヤードでは垣根栽培でブドウを栽培しており、地面は牧草や在来種のイネ科 植物でおおわれています。つまり、垣根栽培のブドウ畑は広大な草原でもあるのです。年に数度行 う下草刈りにより、草原性の在来種や希少種にも日が当たることになり、ブドウ畑の草原の中で生 育することが可能になります。

130年前には日本国土の30%を占めていたという草原ですが、今は国土の1%にまで減少している といわれています。一方で、草原が単位面積当たりに保持している絶滅危惧種植物の数は森林を遥 かに超えており、草原を増やし守ることは、絶滅危惧種植物を守ると同時に、日本の生態系の豊か さを守ることにつながります。

2016年からは、ブドウ畑の中で従業員参加による希少種を含む在来植物の再生・保全活動を開始 しています。専門家の指導を受けて、ブドウ畑およびその周辺で見つかった希少種(クララ、スズサ

共同研究

2016年からは、新たに開拓する山梨県甲州市の遊休地・耕作放棄地が ブドウ畑へ移り変わることがどのように生物多様性に寄与するかについ て農研機構・農業環境変動研究センターとの共同研究を開始していま す。遊休地・耕作放棄地からブドウ畑への転換過程の生態系への影響を 調査・研究するのは日本では初めてのことであり、貴重なデータが得ら れるのではないかと期待しています。2016年には遊休地・耕作放棄地の 状態で調査を実施し、植生が単調であり、昆虫類も僅かしか見つからな いなど、生物の多様性が極めて低い状態であることが分かりました。原 因はシカの食害だと推測しています。2018年春からはブドウの木を植 え始めることになっており、それによって生態系がどう変化するかを調査 し、より自然に寄与できるブドウ畑に活かしていく予定です。

イコ、メハジキ、ユウスゲ)と代表的な草原の在来種(ススキ、トダシバ、ワレモコウ、ツリガネニン ジン、アキカラマツ)が生育していた場所の植物の一部を秋に刈取り、ブドウ畑の中の再生予定地 に敷きます。これにより種が散布されて、上手くいけば、ブドウ畑の中で昆虫たちが捕食や移動に 利用するビートルバンクと呼ばれる緑地帯として機能し、椀子(マリコ)ヴィンヤードがより生態系 が豊かなブドウ畑になることを期待しています。さらに、新たに開拓する遊休農地・耕作放棄地が、 ブドウ畑に転換していくことで、どのように草原が豊かな生態系を作り守ることに貢献していくか の日本で初めての共同研究も開始しています。

重点3

椀子(マリコ)ヴィンヤードで見つかった希少種 1haあたりの絶滅危惧植物

西日本草原研究会(2007)より

ブドウ畑は広大な草原でもあるのです。 希少種・在来種の再生活動を開始しました。

ブドウ畑で見つかった 植生

288

種類

キスゲ

(6)

 

紙・印刷物

ビールや飲料で品質を保って商品をお客様にお届けするために必要な紙製包装容器や事業で使う事務用紙。それらが熱帯雨林を破壊して作られたものであってはいけ ない。そう考えた私たちは、環境保全団体のWWFジャパン(公益財団法人世界自 然保護基金ジャパン)に協力を求め、2013年に森林保全に配慮した紙を使っていく ための行動計画を定め、取り組みを開始しました。

2013年に「持続可能な生物資源利用行動計画」を定め、サプライヤーに持続可能な 紙の利用を促し、同時に複数の企業・NGOとで「持続可能な紙利用のためのコン ソーシアム」を結成して社会全体で持続可能な紙が使えるように各種の活動を開始 しています。2017年に「行動計画」を改定し、紙容器で全面的にFSC®※1認証紙の 利用を目指す活動も開始しました。

FSC認証を受けた紙、FSC管理木材を原料とした紙、古紙を使用した紙、または環境面で保護価値の高 い森林を破壊していない※5ことを調達先へのアンケート等によって確認した紙を優先的に使用します。

※2 事務用紙とは、コピー用紙、封筒(定型外・一部の業務用を除く)、名刺、および会社案内等の印刷物とします。 ※3 対象企業にはキリン・トロピカーナ株式会社を含みます。 ※4 限定商品、少量品種、特殊な形状、輸入品等を除きます。 ※5 High Conservation Value Forest: HCVF と呼ばれるもので、FSCの定義によるものとします。

綜合飲料事業では、オフィス用途以外にも段ボール・6缶パック・紙パック・ギフト箱など大量の 紙を使用しています。キリングループでは、2013年に森林保全に配慮した紙を使っていくための 行動計画を定め、取り組みを開始しました。既に、使用しているすべてのコピー用紙や紙容器につ いて、製紙会社等へのアンケートにより、熱帯雨林をはじめとした貴重な森林を伐採して作られた ものではないことを確認済みです。

2017年2月には、次のステップとして、新しい方針と行動計画を決定しました。キリングループ は2020年末までに、6缶パック、ギフト箱、紙パック、製品用段ボール箱といった紙製の容器包 装を、すべてFSC認証紙に切り替えていくことを目指します。既に、ビール6缶パックの250ml、 350ml、500mlでFSC認証紙100%を達成し、飲料用紙パックでも60%がFSC認証紙に切り替 わっています。また、事務用紙についても、FSC認証紙や古紙100%の紙使用を目指しています。

※1 FSC認証は、森林の環境保全に配慮し、森林のある地域社会の利益にかない、経済的にも継続可能な形で生産された木材や 紙に与えられます。また、FSCリサイクルラベルは、適正な管理の下で市中回収古紙および産業回収古紙を使用した紙に付ける ことができます。

紙・印刷物

●事務用紙※2

●その他 ●容器包装※3※4

2020年末までに、FSC認証を受けた紙、または古紙を使用した紙100%使用を目指します。

①6缶パック:2017年末までに、FSC認証を受けた紙100%使用を目指します。 ②ギフト箱:2020年末までに、FSC認証を受けた紙100%使用を目指します。 ③紙パック:2020年末までに、FSC認証を受けた紙100%使用を目指します。 ④製品用段ボール箱:2020年末までに、FSC認証を受けた紙100%使用を目指します。 キリン株式会社、キリンビール株式会社、キリンビバレッジ株式会社、メルシャン株式会社にて、

キリングループ持続可能な生物資源利用行動計画(抜粋)

キリン商品カタログ メルシャンワインカタログ 統合報告書

環境報告書2016年 封筒

(7)

●基本的な考え方 ●現状

 

パーム油

パーム油を使用している量はごく僅かですが、問題ある熱帯雨林伐採につながる可能性のある品目であり、持続可能な利用を進めたいと考えています。

2011年から2012年にかけてすべての原料を調査し、ごく少量ですがキリングループでパーム油を 原料として使用していることが把握できました。パーム油は熱帯地域だけに育つ生産性の高いア ブラヤシから得られる非常に多用途な植物油ですが、アブラヤシ農園による熱帯雨林の伐採など 生態系への影響や、プランテーションにおける労働条件など、多くの課題を抱えています。 そこで、WWFジャパンと協働で対応方法を検討し、2013年に策定・発表した「持続可能な生物資 源利用行動計画」で持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)が承認する持続可能な認証 油の購入方式(Book & Claim方式)を利用して、持続可能なパーム油の調達に取り組むことにし ました。

2013年に2012年分の一次原料として使用しているものより、全量 をBook & Claim方式による認証パーム油としています。2014年か らは二次原料についてもサプライヤーへのアンケートなどからその 使用量を推計してBook & Claim方式による認証パーム油で対応 し、行動計画を達成しています。

今後も、継続して持続可能なパーム油利用を推進していきます。

一次原料、二次原料ともに全量をRSPOが認めるBook & Claimで対応しています。

コンソーシアムでの活動

生物資源のリスク評価

持続可能な紙利用のためのコンソーシアム

キリングループは持続可能な紙利用を進めようとして いる企業5社とWWFジャパンが2013年11月に協働 して設立した「持続可能な紙利用のためのコンソーシ アム」(CSPU)に、設立メンバーの1社として参画しま した(2017年6月現在のメンバー企業は9社)。

2014年からは、参加メンバーとともに、紙に関するステークホルダーとのダイアログを実施し、持続 可能な紙を利用するにあたっての情報交換と課題の把握を行いました。また、2016年7月8日にはコ ンソーシアムでシンポジウムを開催し、取り組みについて報告するとともに、供給側の企業、業界団 体とともに今後さらに持続可能な紙利用を拡大していくために、現状課題となっていることやその解 決のために何ができるかなどについて議論しました。キリングループでは、CSPU参加メンバーととも に、今後も持続可能な紙が普通にある社会に向けて取り組みを進めていきます。

レインフォレスト・アライアンス コンソーシアム

キリングループは持続可能な農業の推進を目指すレインフォレスト・アライアンスとその認証商品を 取り扱う企業が2015年9月に協働して設立した「レインフォレスト・アライアンス コンソーシアム」 (2017年6月現在のメンバー企業は5社)に設立メンバーとして参画しました。

2016年4月21日には「レインフォレスト・アライアンス コンソーシアム」設立記念シンポジウムを開催 し、どのようにしたら毎日の買い物での小さな選択がサステナブルな社会につながるかを会場の皆様 とともに考えていきました。また、認証マークの認知度向上を目的として、参加企業協働でツイッター を使ったプレゼントキャンペーンも実施し、多くの方が参加されました。コンソーシアムでは今後も、 認証マークの認知度向上とともに、認証商品が普通にある社会に向けて取り組みを進めていきます。 2010年にバリューチェーンCO2排出量を算出する際に得られた生物資源の調達先国・地域と調達量

のデータを活用して、リスクが事業に与える影響度の大きさなどを考慮してリスク調査を行いました。 その結果、重要なブランドへの影響が大きく代替のきかない地域からの調達品が多い「紅茶葉」、容 器として大量に使用している「紙・印刷物」、使用量は極めて少ないものの熱帯雨林が不適切に伐採 される可能性の高い「パーム油」を特定しました。

「キリン 午後の紅茶」のチル ド商品の定番アイテム「キ リン 午後の紅茶 ストレート ティー」(500ml・紙パック) は、レインフォレスト・アライ アンス認証農園の紅茶葉を 100%使用しています。 レインフォレスト・アライアンス コンソーシアム

ネットキャンペーン

重点5

リ ス ク の 発 現 率

行動計画

紅茶葉

その他果汁

ブドウ ホップ

大麦 トウモロコシ

コーヒー豆 大豆

パーム油

認証パーム油比率

(8)

オーストラリアの酪農地

ライオンは、Landcareと組んで"The Lion Dairy Pride Landcare Grants Program"と呼ばれる基金を作って牛乳の 調達先である酪農家が持続可能な酪農を行う支援を行ってい ます。

タスマニア島のリチャード・スマート牧場およびトリーナ・ホー ル牧場では、この基金を使って、酪農地の生物多様性再生の取 り組みを行っています。水路と牛の水飲み場との間にフェンス を設け、一定の場所を囲い、そこに在来種を植えました。こうす ることで、牛が入り込むことを防ぎ、在来の動植物相の保護区域

になることを期待しています。さらに、2015年に、400本を超える高い木や潅木を植えまし たが、2016年秋にはかなりの生育が確認されました。これらの木々により、自然の木陰がで き、牧草の適正な生育に寄与しています。フェンスで囲まれた場所の在来種が生育すること で、2016年夏にはミソサザイ、セキレイ、ツバメが集まってきていることが確認できました。

ブラジルの森林保護

ブラジルキリンは、現地の非営利環境団体であるSOS Mata Atlântica Foundationと協 働で、ブラジルの大西洋沿岸に位置している大西洋海岸森林の保護と環境教育を行ってい ます。年間75万の育苗が可能なサンパウロ州Itu市にあるSOS Mata Atlântica森林体験セ ンターでは、2007年のプロジェクト開始以降、森林再生のための100種以上の苗木約450 万を育てました。また、同センターは環境教育プログラムも提供しており、これまでに延べ 44,000人が訪れています。調査によれば、以前は珈琲農園だった場所では、2007年以来の ブラジルキリンとSOS Mata Atlântica Foundationによる森林再生で、鳥類が140%増加 したことが確認されています。

キリンビール横浜工場

キリンビール横浜工場の敷地内には、地域にお ける生物多様性の保全回復を促進するうえで 多様な可能性をもつ池や、多彩な植生地が配 置されており、それらの資源を活用するため、 2012年夏にビオトープ(生きものが生息する 空間)が整備されました。これは、2011年4月 に策定された生物多様性横浜行動計画「ヨコ ハマbプラン」に賛同した取り組みで、地域の自

然を熟知したNPO法人鶴見川流域ネットワーキングと連携して行っています。

2012年から、春から秋に掛けて「自然の恵みを感じるツアー」を毎週実施し、2016年では 455名のお客様に参加をいただきました。

また、良好に管理され、市民開放などによる地域貢献や生物多様性保全などの環境活動で 顕著な功績が認められた全国の範となる緑地として、2016年12月に公益財団法人都市緑 化機構より「第4回みどりの社会貢献賞」を受賞しました。

キリンビール神戸工場

キリンビール神戸工場は、1997年に設けたビ オトープにおいて、在来の水生生物の再現に取 り組んでいます。近年では、地域の絶滅危惧 種を保護育成する“レフュジアビオトープ※”と

して、カワバタモロコやトキソウなどを育成し ており、ここ数年のカワバタモロコ採取数が約 1,000匹弱で安定するなど、定着に成功してい

ます。モニタリング活動には地域の子どもたちが参加し、良好な環境学習の機会となってい ます。また、神戸工場では、このビオトープをご覧いただけるツアーを毎週木曜日(3月~11 月)に実施しており、2016年には391名のお客様に参加いただきました。

キリンビール岡山工場

岡山工場が所在する瀬戸地域で天然記念物のアユモドキが危機的状況であることから、地 域の方々が人工繁殖を進める取り組みを始め、岡山工場でも2005年から生育場所や資材 の協力を行ってきました。関係者の研究によって人工繁殖の技術も確立し、地元小学校など

ステークホルダー連携

※ レフュジアとは、氷河期に多くの生物種が絶滅する中で、局所的に種が生き残った場所や待避地を示す言葉です。絶滅危惧種の避難場所として整備されたビオトープを、現代のレフュジアという意味で“レフュジアビオトープ”と呼んでいます。

の協力によって個体数も増えてきたことから、 2016年9月8日には、岡山工場のビオトープ池 に、アユモドキを放流する放流式が行われまし た。放流式では、人工繁殖に協力してきた地元 の小学生が、自分たちの育てたアユモドキを放 流してくれました。天然記念物のアユモドキが 企業の敷地内で飼育展示されているのは、全 国でもここだけです。

岡山工場では今後も、外部に逃げないような設備対応や定期的な調査への対応、見学いた だく方への案内板の設置などを行っていきます。また、地域の清掃美化活動への参加など で、アユモドキの生息地域の保全にも継続して協力していきます。

豊かな緑の中で、自然の恵みを実感

ビオトープの魚を調べる子どもたち

神戸工場のビオトープ

 

参照

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・特定非営利活動法人 日本 NPO センター 理事 96~08.. ・日本 NPO 学会 理事 99-03

自動 手動 01 月01日 12:00.

(※1) 「社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会報告書」 (平成 29(2017)年 12 月 15 日)参照。.. (※2)

会長 各務 茂夫 (東京大学教授 産学協創推進本部イノベーション推進部長) 専務理事 牧原 宙哉(東京大学 法学部 4年). 副会長

3 ⻑は、内部統 制の目的を達成 するにあたり、適 切な人事管理及 び教育研修を行 っているか。. 3−1

参加アーティスト 出演者 ソナーポケット 内容:14時30 開会式. 15:00

1.1 E+09 2.7 E+07 6.6 E+08 7.6 E+07 - ※2 1.9 E+09. 各建屋滞留⽔の全αの放射性物質量評価[Bq] ※1